白壇・・ブッダが教えた歯磨き1
千葉栄一先生の「歯と香り」より
「歯ブラシの始まり」
ブッダ(釈迦、紀元前566-486)が仏法を説いて」廻っていた頃、、ブッダは弟子たちの口臭があまりにひどいため、歯磨きなどの口腔衛生法を積極的に指導したことが知られています。
当時、歯磨きに使用した木(木の枝)のことを、サンスクリット語でダンタカーシュタ(dantakastha)といい、中国に伝わった時に歯木(しぼく)や楊枝と訳しました。このダンタが英語のDENTAL(歯科)の語源と言われています。
歯木としては、インドセンダンの枝などを磨きやすいように、房状に広げたものが利用されました。この逸話が、口腔衛生の起源のひとつになっています。
この逸話から、人類は実に2500年以上も前から、歯を磨いていたという事実とともに、当時から口臭に悩まされていたことも、同時に理解されます。
歯を磨く思想は、その後インドから仏教と共に中国、朝鮮を経て、日本へも伝えられました。
ちなみに、センダン(栴壇)について植物事典で調べてみると、白壇の異称と記していました。白壇という名称からでしたら、多くの方がサンダルウッドというアロマセラピーの精油名がすぐに思い浮かぶでしょう。
また白壇の英名Sandal Woodは、アラビア語のSandelholzからの由来語で、もともとはアラビア商人が取引していた、インドのデカン高原(インド大陸の半島部)の土着語に起因するといわれており、インド全体ではChandanの呼び名が一般的でした。
梵語ではカンダナと呼ばれていて、古語辞典によれば、漢字への音訳が栴壇、または真壇とありました。したがって、センダン(栴壇)という言葉自体が、白壇(サンダルウッド)の音訳から派生した可能性が高い事がわかりました。
サンダルウッドの主な産地はインドであり、芳香性が強く、主要成分としてセスキテルペンアルコールを非常に多く含有しており、消毒効果も期待できるため、当時としては最適な歯ブラシとなったのでしょう。このように口腔衛生と、広義に解釈したアロマセラピーは、その起源からかかわりを有しています。