白壇・・ブッダが教えた歯磨き2
千葉栄一先生の「歯と香り」より
「ブッダの歯磨き指導」
ブッダが実際にどのような手ほどきをしたのかは不明ですが、ブッダは弟子たちに読経する前に手を洗い、歯木(シボク)で歯と舌を清掃することを指示したとのことです。また歯磨きによって、口腔内を清掃する5つの功徳というものが説かれています。
- 口臭を除く
- 食べ物の味が良くなる
- 口の中の熱を除く
- 食が進む
- 眼が良くなる
の5つです。
衛生上の必要性に留まらず、健康のために得られる利益として考えることが注目されます。ブッダは出家する29才まで、北インド釈迦族の王子としての教育を受けており、歯木の教えの背景には当然医学的な素養があったものと思われます。
もちろんブッダが突然に歯磨きを始めたとは考えにくく、当時のインドでは木の枝を房状に広げ、歯を磨くと言うノウハウがすでにあったのでしょう。その中で整理された記録として、ブッダの歯磨き法が今日まで伝えられたと考えております。
また、ブッダの直接の記録ではないのですが、宗の時代に中国に渡り、修行としての歯の磨き方を書き残した僧がいます。鎌倉時代初期の人で、曹洞宗の開祖でもある道元(1200~1253)は、栄西(エイサイ)について禅を学び1223年に入栄し、如浄(ニョジョウ)(1163~1228)の印可を受けた後1228年に帰国しています。
道元は「座禅によって釈迦に帰れ」と唱え、実践を重んじました。道元が書き残した物をまとめた、仏書「正法眼蔵」(ショウボウゲンゾウ)の「洗面」の巻では、洗面の仕方から歯の磨き方までが、細かく記述されています。
これは日常の作法が仏道そのものであり、日常を離れての仏道は無いという教えを、中国に渡り会得したからでしょう。