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全身疾患と口腔内の状態は関係あるって知っている?(2)
前回の記事ではがん・脳卒中との関係についてお話ししましたが、今回は心筋梗塞・糖尿病・精神疾患と口腔内の関係について詳しくお話しします。
心筋梗塞と歯周病には深い関係がある
心筋梗塞とは、冠動脈が血栓により詰まり、血液が心臓に送られなくなることで心臓が壊死するというとても怖い病気です。心臓とお口は離れているのになぜ心筋梗塞と歯周病には関係があるのでしょうか。
歯周病菌が血液に入ることで血栓ができやすくなる
歯周病とは歯周病菌という細菌が原因で歯の骨を溶かしてしまう病気です。歯周病がだんだん進行すると歯茎から出血しやすくなります。歯茎の出血や、口腔内の傷などから歯周病菌が血管内に入り込むことで血小板に影響をあたえ血栓ができやすくなるようです。
糖尿病と歯周病の関係
糖尿病とは糖分が体内に吸収されにくくなり、血液の中に糖がたまってしまうことが続く病気です。何が悪いかというと、このような高血糖が続くことで心臓病や失明、脳卒中などを引き起こす可能性があるのです。
では歯周病と糖尿病はなぜ関係があるのでしょうか。
糖尿病の人は歯周病になりやすい
高血糖の状態が続くと感染症にかかりやすくなります。感染症というとインフルエンザなどを想像してしまいますが、歯周病も感染症の一つなのです。
歯周病にならないための口内環境を作ろう
ご自身の健康のためにも、お口の中からしっかりとケアし、歯周病菌に感染しないような口腔環境を作っていきましょう。そのためにもまずは正しいブラッシングから始めてみてください。
精神疾患と口腔内の関係
精神疾患と聞いて頭に浮かぶのがうつ病や統合失調症、認知症なのではないでしょうか。うつ病や統合失調症の患者さんの治療に用いられる向精神薬の副作用の中には食行動の異常、唾液分泌低下などがあります。認知症の場合は、食行動の異常や無気力、暴言・暴力などの症状があります。
適切な口腔ケアを続けることが大事
介護者は、唾液が少しでもでるように唾液腺のマッサージを行い、味覚が良く感じられるように口腔清掃をしっかりしてあげることが大切です。
どのように口腔清掃していいのかわからないなどの不安がある方は、歯科医院や介護施設などで相談してみてください。よいアドバイスがもらえると思います。
ドライマウスの治療、対処法
ドライマウスの治療、対処法について
ドライマウスは原因により対処法が異なるため、治療においては診断がポイントになります。糖尿病や薬の副作用など、原因を除去することで、ドライマウスが改善する場合があります。
シェーグレン症候群や放射線治療による唾液腺の障害は、原因療法が確立されていません。この場合、対症療法が行われます。
ドライマウスの対症療法としては、保湿剤の使用、唾液分泌促進薬の処方による「水分の補給」です。
1.人工唾液、口腔ケア用品
ドライマウスでは医薬品として、「人工唾液サリベート」があります。
人工唾液に対し、口腔乾燥をやわらげるために口腔ケア用品として、”保湿剤“ “湿潤剤”があげられます。ジェルタイプ、洗口液タイプ、スプレータイプなどがあります。
2.唾液分泌促進薬
唾液分泌促進薬は唾液腺のムスカリン受容体を刺激する薬です。セビメリン塩酸塩水和物、エボザック、ピロカルピン塩酸塩が代表的な薬剤です。
漢方薬のなかでは、麦門冬湯、白虎加人参湯、温経湯、八味地黄丸などがあげられます。
3.保湿装置(ナイトガード)
ナイトガードはもともと歯ぎしり用ですが、夜間口腔乾燥には有効です。ナイトガードの内面に保湿ジェルを塗布して使用します。
4.ドライマウスの口腔粘膜の炎症への対応
ドライマウスの患者さんは、口腔乾燥に伴う痛みを7割の方がお持ちです。
痛みの原因はカンジダ菌が関与している可能性が高いです。
唾液分泌が低下すると、自浄作用や抗菌作用が弱くなり免疫能力が落ち、カンジダ菌が増加します。
口腔乾燥症では、紅斑性(委縮性)カンジダ症が多くを占めます。
口腔カンジダ症には抗真菌薬を用います。
そして、口腔を清潔に保つことで再発を防ぐことができます。
表V-4 日本で入手可能な保湿剤リスト
サリベート(人工唾液)
サリベートは、シェーグレン症候群による口腔乾燥症ならびに頭頸部の放射線照射による唾液腺障害に基づく口腔乾燥症の寛解に適応があります。使用方法は、通常1回に1~2秒間口腔内に噴霧し、1日4~5回使用します。
唾液分泌促進薬