タグ : 口腔細菌
歯周内科を始めた理由
歯科医師として、最初は根管治療や、入れ歯、クラウン、ブリッジという被せる分野で、自分の腕をあげることに努力し、患者さんも適合や色など、製作物の調整に満足してくださり、メインテナンスに入っておりました。
適合の良い被せものや詰めものは、咬み合わせに問題がなければ、なかなか患者さんの口からはずれるものではありません。
治療が終わり定期健診に移行した時、痛みがないので来院されなくなった患者さんがでてきました。
↑位相差顕微鏡を使って口腔内の菌を調べます。
治療が終わって数年後の患者さんが、、、
ある日、歯周病をお持ちの患者Aさんが、治療が終わってから数年後に歯ぐきが腫れて、久しぶりに来院されました。
お互いに満足していた品物が、お口の中に入っているにも関わらず、歯周病が進行してしまった為に、きちんと被せた歯の歯ぐきが腫れ、歯はグラグラで、手でも抜く事が出来そうな状況になっておりました。
ショックで落ち込みましたが、この事を通して、本当に患者さんの口腔の健康を保つために、歯周病治療に取り組んで、歯の土台にあたる歯ぐきや骨を守らなければならない、と痛感しました。
フッ素入りのはみがき粉や、ハーブ入りのはみがき粉の使用。うがい薬でのケア、レーザー治療や超音波スケーラーでの治療により、ある程度体力もあり、歯周病の症状が軽い患者さんは、たいていこれらの方法でひとまず治癒に向かいます。
ただし、体力が落ちている方や、急性の歯周病の症状を何度か引き起こしている患者さんは、急性期と静止期の間を、火山の噴火のように行ったり来たりして、状態がなかなか治癒に向かいません。
歯周内科との出会い
そんな時に、九州の天草で開院されている生田図南(いくた となみ)先生の最新歯周治療の講習会で、歯周内科に出会いました。
患者さんと一緒に、位相差顕微鏡で生きている口腔細菌を観察し、患者さん“ひとり、ひとり”にあった薬や治療方法を選び、オーダーメイドの診療を行うことができます。
これからも、まだまだ未来に向けて、新しい治療方法がでてくるでしょう。
実際に、数十年前では夢物語でしかなかった遺伝子診断や、失われた歯周組織を元通りに再生する方法が研究されています。
“ひとり、ひとり”の歯は硬さも色も違います。個性があります。
みなさまの歯と、一生のお付き合いができますように、歯周内科に取り組んでまいりますので、宜しくお願い申しあげます。
歯肉所見の有無(永久歯)
(日本口腔衛生学会編,2000より)
「臨床歯周病学」医歯薬出版より引用